ペットボトルとスポンジでわかる!背骨のS字カーブのふしぎ
私たちの体には、大切な骨が全身にあります。特に体の真ん中にある背骨は、頭を支えたり、体を動かしたりするための土台となる重要な部分です。この背骨、触ってみると硬い骨が連なっているのがわかります。
さて、背骨はまっすぐでしょうか?実は、人間の背骨は横から見ると緩やかなS字カーブを描いています。なぜ、まっすぐではなくカーブしているのでしょうか?このカーブには、体が衝撃を受けたときに私たちを守ってくれる大切な役割があります。今回は、身近なものを使って、背骨のS字カーブが持つふしぎなパワーを体験的に学んでみましょう。
アクティビティ「背骨のS字カーブのふしぎ」
このアクティビティでは、ペットボトルとスポンジを使って背骨のモデルを作り、S字カーブがある場合とない場合で、上の物体が受ける衝撃の伝わり方がどう違うかを比較します。
アクティビティの目的
- 背骨が体を支えるだけでなく、衝撃を吸収する役割があることを体験的に理解する。
- 背骨のS字カーブが、衝撃を和らげる構造的な工夫であることを体験的に学ぶ。
対象となる学年目安
小学3年生〜小学6年生
準備物
- 空のペットボトル(500ml程度、同じもの) 2本
- 食器洗い用などの柔らかいスポンジ 1個
- 厚めの本、または重みのあるもの(500g〜1kg程度) 1冊または1個
- (あると良い)セロハンテープまたは輪ゴム
活動の手順
- 背骨モデルを準備する:
- ペットボトル1本を「まっすぐな背骨モデル」としてそのまま使います。
- もう1本のペットボトルを「S字カーブのある背骨モデル」にします。スポンジを丸めるか、ボトルに巻き付けやすい大きさに切って、ペットボトルの胴体部分にセロハンテープか輪ゴムで固定します。このとき、スポンジがペットボトルのクッションになるように、また少しカーブを意識して取り付けます。完全にS字にするのは難しいかもしれませんが、スポンジの厚みで衝撃を吸収するイメージを持てるようにします。
- モデルの上に本を乗せる:
- 机などの安定した場所に、「まっすぐな背骨モデル」と「S字カーブのある背骨モデル」を並べて立てます。
- それぞれのペットボトルの真上に、準備した本(または重みのあるもの)をそっと乗せます。
- 机に衝撃を与える:
- ペットボトルのそばに立ちます。
- 机の端などを、指先や手のひらでトントンと軽く叩いて、机全体に振動を与えます。叩く強さは、2つのモデルで同じになるようにします。
- 机を揺らしたり、机の脚を軽く蹴ってみたりする方法でも良いでしょう。
- 上の本の動きを観察し、比較する:
- 机に衝撃を与えたときに、それぞれのペットボトルの上に乗せた本がどのように揺れるか、よく観察します。
- どちらの本がより大きく、長く揺れているでしょうか?2つのモデルの違いに注目します。
- 気づきを話し合う:
- なぜS字カーブのあるモデルの方が本の揺れが小さかったのか、気づいたことを話し合ってみましょう。「スポンジがあったから?」「カーブしているとグラグラしにくい?」など、自由に意見を出してもらいます。
活動のポイント
- 机に与える衝撃の強さや回数を一定にすると、比較しやすくなります。
- 乗せる本は、ペットボトルが倒れない程度の重さで、安定して乗せられるものを選びましょう。
- スポンジは、ペットボトルに巻き付けたり、縦に細長くして数カ所に留めたりすることで、S字カーブのクッション材に見立てることができます。完璧なS字でなくても、「クッションがある」というイメージで取り組めます。
- 観察が終わった後、「私たちがジャンプしたり走ったりしたときに、体にはどんな衝撃がかかるかな?」「背骨がまっすぐだったらどうなると思う?」などと問いかけ、日常生活の動作と背骨の働きを結びつけるような声かけをすると、より深い学びにつながります。
- スポンジは、背骨と背骨の間にある「椎間板」というクッション材の役割と、S字カーブ自体が衝撃を分散する役割、両方を兼ねていることを平易に説明すると良いでしょう。
安全上の注意点
- 机を強く叩きすぎると、手や指を痛めたり、ペットボトルや本が倒れてきたりする可能性があります。必ず軽く叩くようにしてください。
- ペットボトルや本が倒れて、怪我をしないように注意してください。特に小さい子が近くにいる場合は気をつけましょう。
- スポンジをカットする場合など、ハサミやカッターを使う際は大人が必ず付き添い、安全に配慮してください。
期待される教育効果
このアクティビティを通して、子供たちは自身の体の中にある「背骨」が、単に体を支えるだけでなく、私たちが活動する際に地面から受ける衝撃や、頭の重さによる衝撃を和らげるクッションのような働きをしていることを体験的に学ぶことができます。特に、S字カーブという構造的な工夫が、衝撃吸収に役立っているという体の仕組みを、実験という形で理解を深めることができます。これにより、体の機能への興味関心を高め、自身の体を大切にしようという意識にもつながることが期待されます。
応用例や発展的な活動
- スポンジの厚みを変えたり、S字カーブの度合いを変えたりして、揺れ方の違いを比較してみましょう。
- 背骨以外の関節(膝や足首)も、衝撃を和らげるクッションのような働きをしていることを紹介し、体の様々な場所の仕組みについて話し合う。
- 自分の背中をそっと触って、背骨がどのように並んでいるか、立っているときと座っているときで姿勢と背骨の感覚がどう違うかなどを観察してみる。
- 体の正しい姿勢について学び、背骨の健康を保つことの大切さについて考える。
私たちの体は、私たちが快適に安全に過ごせるように、様々な素晴らしい仕組みを持っています。背骨のS字カーブもその一つです。この実験を通して、体のふしぎにもっと興味を持っていただけたら幸いです。