どうして声が出るの?のどをさわって声のふしぎを探検!
私たちの身の回りは様々な音であふれていますが、その中でも「声」は特別な音です。楽しい時、悲しい時、何かを伝えたい時、私たちは声を使って気持ちや考えを表します。でも、この「声」は一体体のどこから、どうやって生まれてくるのでしょうか?
今回は、自分ののどをそっと触る簡単なアクティビティを通して、声が出る仕組みの不思議を探検してみましょう。
アクティビティの目的
この活動では、声がのどの奥にある「声帯(せいたい)」という場所で作られることを、実際にのどに触れて感じる体験を通して学びます。声が出ているときにのどが振動していることを観察し、声の高さや大きさがその振動とどのように関係しているのかに気づくことを目指します。
対象となる学年目安
小学校低学年〜高学年
(声帯の仕組みを深く理解するのは高学年向けですが、のどの振動を感じる体験自体は低学年でも十分に楽しめます。)
準備物
- 特に必要なものはありません。自分の手だけで行えます。
- (任意)声の高さを変えるときに音階を確認するための鍵盤楽器、リコーダーなどがあれば、より正確に音の高さを変えられますが、自分の声で歌うだけでも十分です。
- (任意)口の中やのどの動きを観察するための手鏡。
活動の手順
さあ、体の不思議探検に出かけましょう!まずは、自分ののどに触れてみましょう。
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のどの場所を確認しよう:
- 自分ののど、特に男性であれば喉仏(のどぼとけ)があるあたり(女性や子供の場合はあまり目立ちません)の少し上あたりを、人差し指、中指、薬指の3本で優しく触れてみてください。首の前側の、硬すぎず柔らかすぎない場所です。
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何も声を出さずに息をしてみよう:
- 触れたまま、何も声を出さずに、鼻からゆっくり息を吸い込み、口からゆっくり吐いてみましょう。このとき、指に何か特別な感覚はありますか? (ほとんど何も感じないはずです。)
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声を出してのどの変化を感じてみよう(その1):
- 次に、のどに触れたまま、「あーー」と長く声を出してみてください。どうですか? 指にブルブルとした振動を感じるはずです。声を出している間だけ、この振動があることを確認しましょう。声を出さない息では何も感じなかったのに、声を出したとたんに振動が起きたことに気づくでしょう。
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声を出してのどの変化を感じてみよう(その2:声の高さ):
- 今度は、のどに触れたまま、「あー」と低い声から始めて、だんだん高く「きー」と声の音程を上げていってみましょう。声が高くなるにつれて、指に感じる振動の速さや場所、強さは変わりますか? (声が高くなると、振動が速くなるように感じたり、のどの奥の方で振動を感じたりすることがあります。)
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声を出してのどの変化を感じてみよう(その3:声の大きさ):
- 最後に、のどに触れたまま、まず小さな声で「あー」と言ってみて、次に大きな声で「あー!」と言ってみましょう。声の大きさが変わると、指に感じる振動の強さは変わりますか? (大きな声を出すと、振動が強く、大きく感じるはずです。)
活動のポイント
- のどに触れるときは、絶対に強く押さえつけないでください。あくまで「優しく触れる」程度で十分です。
- 振動を感じにくい場合は、触れる場所を少し上下にずらしてみたり、指の腹全体で触れてみたりして、一番振動を感じやすい場所を探してみてください。
- 声の高さを変える時は、いきなり高い声を出そうとせず、ドレミの音階をたどるようにゆっくり変えていくと、変化を感じ取りやすいかもしれません。
- ささやき声(ヒソヒソ声)ではのどがほとんど振動しないこと、普通の声では振動することを比較すると、「声」が生まれる特別な状態があることに気づけます。
- なぜ振動するのか? のどの奥には「声帯」という2枚の膜(ひだ)のようなものがあります。息を吐き出すときにこの声帯が振動することで、声のもとになる音(声の音源)が生まれます。この仕組みを、ゴムを伸ばして弾いたときの振動や、ギターの弦が振動して音が出る様子に例えて説明すると、子供たちはイメージしやすくなるでしょう。声の高低は声帯の張り具合や長さで決まること、声の大小は声帯を振動させる息の量で決まることも補足すると、より深い理解につながります。
- もし可能であれば、安全に注意しながら、お家の人や友達と互いののどに触れて、声の振動を感じ合ってみるのも面白いでしょう。
安全上の注意点
- のどを強く押さえつけないこと。 絶対に乱暴に扱わないようにしましょう。のどの周りには大切な血管や神経があります。
- 触っている間に、咳き込んだり、息苦しさを感じたり、痛みを感じたりした場合は、すぐに活動を中止してください。
- 体調が悪いときや、のどが痛いときは無理に行わないでください。
期待される教育効果
このアクティビティを通して、子供たちは声が空気の流れと体の特定の器官(声帯)の「振動」によって作られていることを体感的に理解できます。「声は口から出る音」という漠然とした理解から、「声はのどの奥の振動で生まれる」という具体的な仕組みの理解へとステップアップできるでしょう。また、声の高さや大きさが体の内部の動き(声帯の振動)と繋がっていることに気づき、自分の体への興味や関心を深めるきっかけとなります。五感を使った体験と体の仕組みを結びつける良い導入となります。
応用例や発展的な活動
- 声帯の模型作り: ゴムバンドや紙テープなどを使って、息を吹きかけると振動する簡単な声帯の模型を作ってみる。
- 様々な音との比較: 自分の声以外の音(楽器の音、動物の鳴き声など)がどのように生まれているのかを調べ、声の発声との共通点や違いについて話し合ってみる。
- 声の健康: 声帯を傷めないためにはどうすれば良いか(大声の出しすぎに注意する、乾燥を防ぐなど)について考える。
声は私たちにとって最も身近な「体の出す音」の一つです。今回の探検を通して、その声が生まれるのどの奥の不思議な仕組みに、少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。