いろいろなにおいをかぎ分けてみよう!鼻のふしぎを探検!
私たちの体には、外界の情報を感じ取る五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)が備わっています。今回は、その中でも特に「におい」を感じる鼻のふしぎに注目し、簡単なアクティビティを通して嗅覚の働きを探検してみましょう。
アクティビティの目的
この活動を通して、参加者は以下の点を体験的に学びます。
- 嗅覚がどのようなものか、実際ににおいをかぎ分ける体験を通して理解します。
- 鼻がにおいを感じる仕組みの基本を知ります。
- 嗅覚が私たちの生活の中でどのような役割を果たしているかを考えます。
対象となる学年目安
小学1年生〜小学6年生 (低学年は嗅ぎ分けを楽しむことに重点を置き、高学年はより詳しい仕組みや嗅覚の役割について掘り下げることができます。)
準備物
- いろいろなにおいがするもの: 身近なもので、安全なものを選びましょう。
- 例1: レモンやオレンジなどの柑橘類の皮
- 例2: コーヒー豆またはインスタントコーヒー
- 例3: 乾燥ハーブ(ミントやローズマリーなど)
- 例4: スパイス(シナモン、クローブなど少量)
- 例5: 石鹸やシャンプーのサンプル
- 例6: 醤油や酢(少量)
- 例7: お花の香り
- においを入れる容器: 中身が見えない不透明な小さな容器や、小さな紙コップなど。数種類(5〜10種類程度)のにおいのために同数の容器を用意します。
- ティッシュペーパーやコットン: 容器に入れるにおいが液体や粉末の場合に使用します。
- 目隠し用の布(任意): 嗅覚だけに集中して挑戦したい場合に使用します。
活動の手順
- においの準備: 用意したにおいがするものを、それぞれ別の容器に入れます。液体や粉末の場合は、ティッシュペーパーやコットンに少量含ませてから容器に入れると扱いやすいです。容器には番号などをつけておき、中に何が入っているか分かるようにメモしておきましょう(参加者には見せない)。
- におい体験①(自由観察):
- 参加者に用意した容器を見せながら、「ここには、いろいろなにおいが入っています」と伝えます。
- 一つずつ容器の蓋を開けたり、口に鼻を近づけたりして、中のにおいを嗅いでもらいます。
- どんなにおいがするか、感じたことを言葉で表現してもらいます。「これは〇〇のにおいかな?」「すっぱいにおい」「いいにおい」など、自由に言ってもらいましょう。
- 全てのにおいを嗅ぎ終えたら、それぞれがどのにおいを気に入ったか、あるいは苦手だったかなどを話し合ってもらいます。
- におい体験②(かぎ分けクイズ - 任意で目隠しも):
- いくつかのにおいを選び、参加者にそれが何のにおいか当ててもらうクイズ形式にします。
- 目隠しをして行うと、視覚の情報がない分、嗅覚に集中しやすくなります。ただし、慣れない場合は目隠しなしでも構いません。
- 一つずつにおいを嗅いでもらい、「これは何のにおいでしょう?」と問いかけます。
- 当てられたら正解を伝えます。難しければヒントを出しても良いでしょう。
- 「鼻をつまんでにおいを嗅ぐ」実験:
- 特に食べ物や飲み物に関連するにおい(コーヒー、醤油など)を用意している場合に効果的です。
- 参加者にそのにおいを嗅いでもらった後、「鼻をつまんで、もう一度同じにおいを嗅いでみましょう」と伝えます。
- 鼻をつまんだときとそうでないときで、においの感じ方がどう違うか尋ねてみましょう。多くの場合、風味が感じにくくなるはずです。これは、鼻の奥で感じる「におい」と舌で感じる「味」が合わさって「風味」として認識されることに関連しています。
活動のポイント
- 言葉での表現を促す: どんなにおいか、感じたことを言葉にするのは簡単なことではありません。「甘いにおい?辛いにおい?」「どんな場面で嗅いだことがあるかな?」など、具体的に問いかけることで、表現の手助けをしましょう。
- 安全第一: 使用するにおいは、誤って口に入れても安全なもの、皮膚についてもかぶれにくいものを選んでください。刺激が強すぎるものは避けましょう。
- 興味を引き出す: 準備物のリストを見せず、「中に何が入っているか当ててみてね!」といったクイズ形式にすると、子供たちは興味を持ちやすくなります。
- 違いに注目させる: 同じにおいでも、人によって感じ方が違う場合があることを伝え、「みんなはどんな風に感じた?」と違いを共有する時間を作るのも良いでしょう。
安全上の注意点
- 使用するにおいがするものは、誤って吸引したり、目や口に入れたりしないよう、取り扱いには十分注意してください。特に液体や粉末はこぼれやすいので、容器の管理をしっかり行いましょう。
- アレルギーの原因となる可能性があるものは避けるか、参加者に事前に確認してください。
- 強いにおいを長時間嗅ぎ続けることは避けてください。気分が悪くなる可能性があります。活動時間は適切に調整しましょう。
- 容器はしっかりと密閉できるものを用意し、活動時以外は蓋をしておくようにします。
期待される教育効果
このアクティビティを通して、子供たちは嗅覚という感覚の存在を具体的に認識し、その働きについて学ぶことができます。においをかぎ分ける体験は、感覚を研ぎ澄ませる訓練になります。また、鼻をつまんだときの実験を通して、嗅覚が味覚と密接に関連しており、「風味」として認識されることの一端を体験できます。さらに、においが食べ物の安全性を判断したり(腐敗臭など)、危険を察知したり(火事の煙など)する上で重要な役割を果たしていることを学ぶことで、嗅覚が私たちの生活にとってなくてはならない大切な感覚であることに気づくでしょう。
応用例や発展的な活動
- 身の回りのにおいマップ: 学校や家の中で、どんな場所でどんなにおいがするかを記録する「においマップ」を作成してみましょう。
- においの記憶: 特定のにおいを嗅いだときに、どんな出来事や場所、人物を思い出すかを話し合ってみましょう。においと記憶の関連性について学ぶきっかけになります。
- 動物の嗅覚: 犬やその他の動物が人間よりもはるかに優れた嗅覚を持っていることについて調べ、それがどのように役立っているか発表し合うのも面白いでしょう。
- 鼻の構造を詳しく調べる: 鼻の内部の構造(鼻腔、嗅粘膜、嗅細胞、嗅神経など)について図鑑やインターネットで調べ、においが脳に伝わる仕組みを詳しく学んでみましょう。
今回の「においを探検」する活動を通して、子供たちが五感の一つである嗅覚に改めて目を向け、そのふしぎや大切さを感じ取る機会となれば幸いです。