鏡と光でわかる!瞳孔のふしぎな働き
鏡と光でわかる!瞳孔のふしぎな働き
私たちの体には、光の量を自動的に調節してくれるカメラのような部分があります。それは、目の真ん中にある黒い部分、「瞳孔」です。今回は、鏡と身近な光を使って、この瞳孔がどのように働いているのかを観察するアクティビティを紹介します。
アクティビティの目的
この活動を通して、目の瞳孔が周りの明るさに合わせて大きさを変え、目で受け取る光の量を調節していることを体験的に理解します。これによって、私たちが暗い場所でも物を見ることができたり、明るすぎる場所でまぶしさを感じにくくなったりする仕組みの一端を知ることができます。
対象となる学年目安
小学校中学年〜高学年
(安全に十分注意し、大人がしっかりサポートすれば小学校低学年でも可能です。)
準備物
- 手鏡 または スタンドミラー
- 安全なレベルの光を出すもの(例:スマートフォンのライト機能、小型のペンライト、懐中電灯など ※強い光は避ける)
- 部屋を暗くできるもの(例:厚手のカーテン、暗幕など)
- 必要に応じて、観察したことを記録するための紙とペン
活動の手順
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瞳孔の観察(明るい場所)
- 活動場所を選びます。明るい場所(窓際など)と、そこからすぐに移動できる、暗くできる場所を用意してください。
- 明るい場所で鏡を持ち、自分の目の黒い部分(瞳孔)を観察します。
- もし、自分の目で観察するのが難しければ、パートナー(保護者や友達)に協力してもらい、相手の瞳孔を観察させてもらいましょう。相手との距離を適切に取り、顔を近づけすぎないように注意してください。
- 瞳孔の大きさや形をよく見て、どんな様子か心の中で覚えたり、紙に絵を描いたりしてみましょう。
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瞳孔の観察(暗い場所)
- 次に、部屋を暗くします。カーテンを閉めるなどして、できるだけ光が入らないようにしてください。
- 暗い場所に移動し、目が暗さに慣れるまで1~2分待ちます。
- 再び鏡を使って自分の瞳孔を観察するか、パートナーの瞳孔を観察します。
- 明るい場所にいた時と比べて、瞳孔の大きさがどのように変化したかを確認します。
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光を当てて変化を観察
- 暗くした場所で、鏡を見ながら行います。
- 【重要】光は目から少し離し、直接目に当て続けないように注意してください。弱い光から試しましょう。
- 片方の目に、少し離れたところから安全な光(ペンライトなど)をそっと当ててみます。
- 光を当てた瞬間に、瞳孔の大きさがどのように変化するかを観察します。
- 光を消した後の瞳孔の変化も観察してみましょう。元の大きさに戻る様子が見られるかもしれません。
- もう片方の目でも同じように観察してみましょう。
- もし可能であれば、パートナーと協力して、一人が自分の目を鏡で見ながら光を当て、もう一人がその変化を隣で観察するという方法も有効です。
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話し合いとまとめ
- 観察して気づいたことや、明るい場所、暗い場所、光を当てた時で瞳孔の大きさがどのように違ったかを話し合います。
- なぜ瞳孔の大きさが変わるのか、その理由について考えてみましょう。
活動のポイント
- 瞳孔はとても小さく、動きも速いので、観察は根気強く行う必要があります。特に、暗い場所での観察や、光を当てた時の瞬間的な変化を見るのは少し難しいかもしれません。
- パートナーと協力すると、互いに観察し合うことで、より詳しく瞳孔の変化に気づきやすくなります。
- 観察の前に「瞳孔はカメラの絞りのような働きをしている」といったヒントを与えることで、子供たちは「光の量を調節している」という目的に注目しやすくなります。
- 観察中に「どう?何か変わった?」「いつ小さくなった?」「いつ大きくなった?」など、具体的な問いかけをしながら観察を促しましょう。
安全上の注意点
- 【最も重要】ペンライトなどの光を直接、長時間、または強い光で目に当てないでください。目にダメージを与える可能性があります。必ず弱い光を使用し、目から十分離して、当てる時間も短く(数秒程度に)してください。不安な場合は、スマートフォンの画面を明るくして、少し離して観察する方法なども検討してください。
- 暗い場所での移動は、つまずいたり物にぶつかったりしないよう注意してください。
- 使用する鏡は割れない素材であるか、万が一割れても破片が飛散しにくいものを選びましょう。
- 複数人で活動する場合は、他の人の目に誤って光を当ててしまわないように、光の向きに十分注意するように声かけを徹底してください。
期待される教育効果
- 身体の機能の理解: 瞳孔が光の量に応じて大きさを変えることで、目で受け取る光の量を自動的に調節しているという、目の重要な機能について理解を深めます。
- 観察力の向上: 微細な変化に気づく観察力を養います。
- 科学的思考の芽生え: 「なぜ大きさが変わるのだろう?」と現象の理由を考え、目の働きと結びつけて考える探求心が育まれます。
- 体験と知識の結びつき: 実際に自分の体で体験したことと、目の仕組みに関する知識を結びつけて理解することができます。
応用例や発展的な活動
- 動物の瞳孔: ネコやフクロウなど、夜行性の動物の瞳孔が細長かったり、丸く大きく開いたりすることについて調べ、人間の瞳孔との違いやその理由について話し合ってみましょう。
- カメラの絞り: カメラの絞りが光の量を調節する仕組みについて調べ、目の瞳孔との共通点や違いを比較してみましょう。
- 視力の変化: 近視や遠視といった視力の問題が、目の他の部分(レンズや網膜など)とどのように関係しているのか、簡単に調べてみるのも良いでしょう。
このアクティビティを通して、私たちの目が普段意識していないところで、光をうまく調節してくれているふしぎな働きについて、楽しく学ぶことができるはずです。ぜひ、ご家庭や学校で試してみてください。