音はどうやって聞こえるの?糸電話で耳のふしぎを探検!
私たちの身の回りには様々な音があふれています。鳥のさえずり、車の走る音、そして友達との楽しいおしゃべり。これらの音は一体どのようにして生まれ、どのように私たちの耳に届いているのでしょうか?
今回は、身近な道具「糸電話」を使った簡単なアクティビティを通して、音の正体とその伝わり方のふしぎを探検してみましょう。「なんで糸電話で声が聞こえるんだろう?」そんな素朴な疑問から、音と耳の仕組みへの探求が始まります。
アクティビティ:糸電話で音のふしぎを探検!
この活動では、自分で作った糸電話を使って、音がどのように伝わるのかを体験的に学びます。音の正体が「振動」であること、そしてその振動がものを伝わっていく様子を観察しましょう。
アクティビティの目的
- 音の正体が「振動」であることに気づく。
- 音が空気だけでなく、糸やコップなどの「もの」の中を伝わることを体験する。
- 耳が音(振動)を捉える仕組みに興味を持つ。
対象となる学年目安
小学校1年生〜小学校6年生程度
(年齢が低い場合は、大人が道具の準備を手伝い、簡単な言葉で説明しながら行いましょう。高学年であれば、応用例にも挑戦し、より科学的な探求を深めることができます。)
準備物
- 紙コップ:2個(底に穴を開けやすいもの)
- たこ糸(または木綿糸など):3〜5メートル程度(長すぎると糸がたるみやすく、短すぎると体験しにくい場合があります)
- セロハンテープまたはガムテープ:少量
- きり、または先の尖った鉛筆、竹串など:紙コップの底に小さな穴を開けられるもの(※危険なので、使用時は必ず大人が行い、子供の手の届かない場所に保管してください。)
- (あれば)様々な種類の糸やコップ:比較実験用
活動の手順
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糸電話を作る:
- 紙コップの底の中心に、きりなどで小さな穴を開けます。(大人の方が行ってください)
- 開けた穴に、たこ糸の一方の端を通します。
- コップの内側に出てきた糸の端を、セロハンテープなどでしっかりと留めます。結び目を作ってからテープで補強すると、糸が抜けにくくなります。
- もう一方の紙コップにも、同様に糸のもう一方の端を通して固定します。
- これで糸電話の完成です!
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糸電話を使ってみる:
- 二人一組になります。一人がコップに口を当てて話し、もう一人がコップを耳に当てて聞きます。
- 糸をピンと張った状態でお話ししてみましょう。「聞こえる?」「どんなふうに聞こえる?」などと声をかけ合います。
- 聞こえたら、今度は糸を少し緩めて話してみましょう。聞こえ方に違いがあるか試します。
- さらに糸をたるませた状態で話してみましょう。どのように聞こえるか、または聞こえないかを観察します。
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音の伝わり方を観察する:
- 糸をピンと張ったまま、一人がコップの底に口を当てて「あー」と声を出します。
- もう一人は、コップを耳に当てるだけでなく、コップの底を指で軽く触ってみましょう。声を出している間、コップの底がどうなっているか感じてみます。
- 声を出している側の人が、コップの底の糸が繋がっている部分を指で触ってみましょう。声を出している間、糸がどうなっているか感じてみます。
活動のポイント
- 糸をピンと張ることの重要性: 糸がたるんでいると音が伝わりにくいことを体験させ、「音が伝わるためには、糸がしっかり張っている必要があるね」と気づきを促します。これは、音が「もの」の中を振動として伝わることを示唆します。
- コップの底の振動を感じる: 声を出しているコップの底や、糸に触れることで、声が「振動」として伝わっていることを肌で感じさせます。この「振動」が音の正体であることを説明する良い機会です。
- 耳の仕組みと関連付け: 糸電話でコップが振動して音を伝えるように、私たちの耳の奥にある「鼓膜(こまく)」も音の振動を受け取って震えることを簡単に説明します。振動が耳の中を通って脳に伝わり、私たちは「音」として認識していることを伝えましょう。専門的な言葉は避けて、「耳の中のたいこ(鼓膜のこと)が震えるんだよ」といった比喩を使っても良いでしょう。
- なぜ声が聞こえるの?話し合い: 活動後に、「どうして糸電話で声が聞こえたのかな?」「普通の声とどう違う?」などと話し合う時間を持ちましょう。子供たちの気づきや疑問を引き出します。
安全上の注意点
- きりの使用: 紙コップに穴を開ける作業は、必ず大人が行ってください。子供にはきりを触らせないようにし、使用後は安全な場所に保管してください。
- 糸の取り扱い: 糸が首などに絡まないように十分注意してください。糸を持ったまま走り回ったりしないように声をかけましょう。
- 耳への当て方: コップを耳に強く押し付けすぎないように注意しましょう。
期待される教育効果
このアクティビティを通して、子供たちは音の物理的な性質である「振動」を体感し、音が空気だけでなく固体の中も伝わることを学びます。また、糸電話の仕組みと私たちの耳の仕組みを結びつけることで、聴覚への関心を高めることができます。単に音を聞くという日常的な行為の裏にある、体の不思議な働きに気づくきっかけとなるでしょう。
応用例や発展的な活動
- 糸の種類を変えてみる: たこ糸の代わりに、毛糸や釣り糸、ゴムひもなど、様々な素材の糸で糸電話を作ってみましょう。糸の種類によって音の聞こえ方がどう変わるか比較観察します。「この糸の方がよく聞こえるね!」「なんでだろう?」といった疑問から、音の伝わりやすさが素材によって違うことに気づけます。
- コップの素材や大きさを変えてみる: 紙コップだけでなく、プラスチックコップや金属のコップなど、様々な素材や大きさのコップで糸電話を作ってみましょう。コップの違いが音の聞こえ方にどう影響するかを調べます。
- 糸を地面に置いてみる: 糸をピンと張ったまま、途中の地面に触れさせてみましょう。聞こえ方がどう変わるか試します。音の振動が地面に逃げてしまう(吸収される)ことを示唆する体験になります。
- 壁を糸電話にする: 部屋の壁にコップの底を当て、壁に当てた糸の端に声を出す。壁を伝わった音がコップで集められて聞こえるか試すなど、身の回りのものが音を伝える媒体になりうるかを探る実験もできます。
糸電話は simple な仕組みですが、音の正体と伝わり方を体験的に学ぶための素晴らしい道具です。ぜひ、親子で、またはクラスみんなで、音と耳のふしぎを探検してみてください。今回の活動を通して、子供たちが身の回りの「音」にもっと耳を澄ませ、体の仕組みに興味を持つきっかけとなれば幸いです。