紙とペンで盲点を探してみよう!目のふしぎを探検!
紙とペンで盲点を探してみよう!目のふしぎを探検!
私たちの目は、素晴らしい機能を持っています。しかし、実は誰の目にも「見えない場所」があることをご存知でしょうか?光を感じているはずなのに、なぜかそこに物があっても見えなくなってしまう、そんな不思議な場所が存在するのです。
この「見えない場所」を「盲点(もうてん)」と呼びます。今回は、ご家庭や学校で簡単にできるアクティビティを通して、この盲点の存在を実際に体験し、なぜそんな場所があるのか、目の仕組みを探検してみましょう。
アクティビティ「盲点を探そう!」
アクティビティの目的
- 目には「盲点」という見えない場所があることを体験的に知る。
- 盲点が、目の構造(網膜と視神経)と関連があることを学ぶ。
- 視覚の不思議さ、そして私たちは見えている世界をどのように認識しているのかに興味を持つ。
対象となる学年目安
小学校中学年〜高学年
準備物
- 白い紙(A4サイズ程度)
- ペン(黒など、はっきりした色が良い)
活動の手順
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準備:
- 白い紙を横向きに置きます。
- 紙の右端から7〜8cmのところに、直径5mmくらいの「黒い点」をはっきり描きます。
- その黒い点から左に約15cm離れたところに、「+(プラス)」のマークを同じくらいの大きさで描きます。黒い点と+マークが同じ高さになるように描いてください。(右端に点、真ん中よりやや右に+マークがある状態です)
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体験:
- 紙を顔の前に持ち、右目を閉じます。
- 左目で紙の右端に描いた黒い点をじっと見つめます。このとき、目線は絶対に黒い点から動かさないようにしてください。
- 黒い点を見つめたまま、紙をゆっくりと顔に近づけたり、遠ざけたりします。
- すると、ある距離になったとき、真ん中よりやや右にあるはずの+マークが、突然見えなくなる瞬間があります。そのまま紙をさらに近づけたり遠ざけたりすると、再び見えるようになります。
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逆の目で試す:
- 今度は紙を横向きにし、左端に黒い点、そこから右に約15cm離れたところに+マークを描きます。
- 左目を閉じ、右目で紙の左端に描いた黒い点をじっと見つめます。
- 同様に、黒い点を見つめたまま紙をゆっくりと顔に近づけたり遠ざけたりします。
- すると、先ほどと同じように、ある距離で+マークが見えなくなる瞬間があるはずです。
活動のポイント
- 「+マークが消えた!」という驚きの感覚を大切にしましょう。なぜ消えるのか、子供に問いかけてみてください。
- 片目で行うことが重要です。両目で見ると、通常は盲点に当たった情報ももう片方の目で見えるため、盲点の存在に気づきにくくなります。
- 紙を持つ距離は個人差があります。見えなくなる場所が見つかるまで、焦らずゆっくりと紙を動かしてみてください。
- 机に紙を置いて頭を動かす方法もありますが、紙を持って動かす方が、目と紙の距離をコントロールしやすく、変化を体験しやすいかもしれません。
- 点やマークの大きさ、紙の種類などを変えて試してみるのも面白いかもしれません。
安全上の注意点
- 長時間、一点を凝視しすぎると目が疲れることがあります。適度に休憩を取りながら行ってください。
- 無理な姿勢で行わないようにしましょう。
- 体調が悪いときや、目に痛みなどがあるときは、このアクティビティは行わないでください。
期待される教育効果
このアクティビティを通して、子供たちは自分自身の目に「見えない場所」があるという驚きの事実を体験できます。これは、視覚がどのように成り立っているのか、その仕組みへの入り口となります。
盲点がある場所は、目の奥にある「網膜(もうまく)」という光を感じる細胞が集まった膜の上で、視神経が束になって脳に向かっていく入り口にあたる部分です。この部分には、光を感じる細胞(視細胞)が全くありません。そのため、そこに光が当たっても、脳は光の情報を受け取ることができず、「見えない」と感じてしまうのです。
しかし、普段両目で見ているときや、視線を動かしたりするときには盲点に気づきません。これは、脳が片方の目の情報で盲点の部分を補ったり、周りの景色から「きっとこうだろう」と予測して情報を埋め合わせたりしているためです。このことから、私たちは単に目が見たものをそのまま受け取っているだけでなく、脳が情報を処理して見ている世界を作り出している、という目の機能の奥深さを学ぶきっかけにもなります。
この活動は、目の構造と見え方の不思議を結びつけ、子供たちの探究心や観察力を育むことにつながるでしょう。
応用例や発展的な活動
- どうして両目で見ているときは盲点に気づかないのか、家族や友達と話し合ってみましょう。
- 他の視覚の不思議(錯視や残像など)についても調べて、体験できるアクティビティを探してみましょう。(「親子でからだ探検隊」の他の記事も参考にしてください!)
- 盲点の位置や大きさは人によって違うのか、試してみるのも面白いかもしれません(個人差はほとんどありませんが)。
盲点を探すアクティビティは、私たちの目が持つ驚きの仕組みを手軽に体験できる素晴らしい方法です。ぜひ、お子様と一緒に挑戦して、身体の不思議を探検してください。