味がへんてこ?鼻をつまんでわかる味のひみつ
「美味しい!」と感じる時、私たちは舌だけで味を感じているのでしょうか?実は、食べ物の味や風味には、鼻で感じる「匂い」が大きく関わっています。今回は、鼻をつまんで食べ物を食べるという simple なアクティビティを通して、味覚と嗅覚の意外な関係を探検してみましょう。
アクティビティの目的
この活動を通して、参加者は以下のことを体験的に学びます。
- 食べ物の味や風味は、舌だけで感じるのではなく、鼻で感じる匂いも大きく影響していること。
- 味覚と嗅覚が連携して、食べ物の風味を認識していること。
- 五感がどのように協力して働いているのかを考えるきっかけを得ること。
対象となる学年目安
小学校 中学年〜高学年
(※低学年でも体験は可能ですが、味や匂いの違いを言葉で表現したり、メカニズムを理解したりするのは難しい場合があります。関心に合わせて調整してください。)
準備物
- 数種類の食べ物(安全で、匂いや風味の特徴が分かりやすいものが望ましいです。例:飴玉、グミ、小さく切った果物(りんご、バナナなど)、小さく割ったクラッカーやビスケットなど)
- 【重要】 参加者にアレルギーがないか、事前に必ず確認してください。誤嚥の危険がある小さなものや、口の中で溶けにくいものは避け、よく噛んで食べられるものを選んでください。
- 鼻をつまむためのもの(洗濯ばさみ、または指)
- 【代替案】 洗濯ばさみは指を挟みすぎる危険があるため、自分の指で鼻をつまむ方法を推奨します。
- 目隠し(スカーフやタオルなど。任意ですが、視覚情報をなくすことで、味覚と嗅覚の体験に集中しやすくなります。)
- 感想などを書き留めるための紙とペン(任意)
活動の手順
- 準備をする:
- 使用する食べ物を参加者に提示し、どのような食べ物かを確認します。
- 安全上の注意点(特にアレルギーと誤嚥について)を参加者と共有します。
- 「鼻をつままない」で食べてみる:
- まず、食べ物を一つ選びます。
- 食べる前に、その食べ物の匂いをよく嗅いでみましょう。「どんな匂いがするかな?」「何かの匂いに似てるかな?」などと声かけし、匂いの特徴を言葉で表現するよう促します。
- 次に、普通にその食べ物を口に入れて、よく噛んで食べます。「どんな味がするかな?」「甘い?しょっぱい?すっぱい?」「食べた感じはどんなかな?」などと声かけし、味や風味、食感などを言葉で表現してもらいます。
- 「鼻をつまんで」食べてみる:
- 同じ種類の食べ物をもう一つ用意します。(必要であれば目隠しをします。)
- 食べる前に、鼻を指でしっかりとつまみます。(または洗濯ばさみで優しく挟みます。強く挟みすぎないように注意してください。)
- 鼻をつまんだまま、その食べ物を口に入れて、よく噛んで食べます。
- 鼻をつまんだまま、どんな味や風味がするか言葉で表現してもらいます。「さっき食べた時と比べてどうかな?」「何か違いはあるかな?」などと問いかけます。
- 食べ終わったら、鼻から指を離します。
- 違いを話し合う:
- 鼻をつまんで食べた時と、そうでない時で、味や風味にどのような違いを感じたか、参加者に発表してもらいます。
- 「味が薄く感じた」「甘さや酸っぱさはわかるけど、〇〇の味(風味)が分からなかった」「ただの甘い(すっぱい)塊みたいだった」など、様々な意見が出るでしょう。
- 他の食べ物でも試してみる:
- 他の種類の食べ物でも、手順2〜4を繰り返して、違いを比べてみましょう。食べ物によって違いの感じ方が異なるかもしれません。
- なぜそうなるのか解説する:
- 体験を通して感じた違いがなぜ起こるのか、味覚と嗅覚の関係について解説します。(詳細は「期待される教育効果」を参照)
活動のポイント
- 感じたことを言葉に: 子供たちが感じた微妙な違いを言葉で表現できるよう、「どんな感じ?」「何かに似てる?」など具体的に問いかけると良いでしょう。
- 「味」と「風味」: 舌で感じる「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」の基本五味と、鼻で感じる「匂い」が合わさったものが「風味」であることを説明すると、理解が深まります。「鼻をつまむと、舌で感じる味は分かるけれど、風味が分かりにくくなるんだよ」と伝えてみましょう。
- 匂いの通り道: 鼻をつまむと、食べ物から立ち上る匂い成分が鼻の奥(鼻腔)に届きにくくなるため、匂いが感じられなくなることを、図や簡単なジェスチャーで示すと分かりやすいかもしれません。
- リラックスして: 緊張しているとうまく感じられないこともあります。リラックスした雰囲気で、遊び感覚で取り組めるようにしましょう。
安全上の注意点
- アレルギーの確認: 使用する食べ物にアレルギーがないか、事前に全ての参加者について厳重に確認してください。
- 誤嚥防止: 小さすぎるものや硬いもの、喉に詰まりやすい食べ物は絶対に使用しないでください。よく噛んで、慌てずにゆっくり食べるように指導してください。活動中は目を離さないようにしてください。
- 鼻をつまむ力: 洗濯ばさみを使用する場合は、指や鼻を強く挟みすぎないよう、大人が十分に注意してください。指で優しくつまむ方法が最も安全です。
- 食べながら話さない: 鼻をつまんだ状態や食べ物を口に入れたまま、ふざけて話をしないように注意してください。誤嚥の危険が高まります。
期待される教育効果
このアクティビティを通して、子供たちは「味」が単に舌だけで感じるものではなく、鼻で感じる「匂い」と密接に関わっていることを実感できます。これは、五感がそれぞれ独立して働いているのではなく、連携して情報を処理しているという身体の仕組みへの気づきにつながります。
具体的には、以下の効果が期待できます。
- 身体の仕組みへの興味: 日常当たり前に感じている「味」に隠された身体の連携機能(味覚と嗅覚の共同作業)に気づき、身体への興味関心を高めます。
- 観察力・分析力: 鼻をつまんだ時とそうでない時の違いを注意深く観察し、その違いを言葉で表現することで、観察力や分析力が養われます。
- 科学的思考の基礎: 「なぜ味が変わったんだろう?」という疑問から、原因と結果の関係を考え、仮説を立て(匂いが関係している?)、実験(鼻をつまむ)で検証するという科学的な思考の入り口を体験できます。
- 五感への意識: 五感の一つである味覚が、他の感覚(嗅覚)と協力していることを知り、自分の身体が様々な感覚を通して世界を認識していることを意識するようになります。
応用例や発展的な活動
- 匂い当てクイズ: 目隠しをして、匂いだけを嗅いで何の食べ物か当てるクイズをしてみましょう。
- 鼻風邪と味: 鼻風邪をひくと食べ物の味が分かりにくくなる経験について話し合い、今日の実験との関連性を考えてみましょう。
- 他の感覚との関連: 視覚(見た目が良いと美味しく感じる?)、聴覚(サクサクという音)、触覚(食感)など、他の感覚も味覚に影響を与えることを紹介し、さらに深い学びにつなげることができます。
この「鼻をつまんで味の探検」アクティビティは、身近なもので手軽にでき、子供たちが身体の不思議を実感しやすい活動です。ぜひ、お子さんや生徒さんと一緒に、味覚と嗅覚のひみつを探検してみてください。