水が乾くとひんやり?汗と体温調節のふしぎを探検!
夏の暑さでもだいじょうぶ?体温調節のふしぎ
夏は気温が高く、体を動かすとさらに体温が上がります。でも、私たちの体は不思議と体温が上がりすぎることはあまりありませんね。これは、体がもっている大切な働きのおかげです。その一つが「汗」です。
汗は、体温が上がりすぎないように体を冷やすためにかきます。では、どうして汗をかくと体が冷えるのでしょうか?今回の「からだ探検隊」では、身近な材料を使った簡単な実験を通して、汗が体温調節にどのように役立っているのかを探検してみましょう。
アクティビティ:ひんやり体験で学ぶ汗のふしぎ
このアクティビティでは、水が蒸発する時に起こる現象を体験し、それが汗の役割とどうつながるのかを学びます。
アクティビティの目的
- 水が蒸発する際に周囲の熱を奪う「気化熱(きかねつ)」という現象を体験的に理解する。
- 汗が体温を下げる仕組み(気化熱を利用していること)を知る。
- 体温調節という体の重要な働きに関心を持つ。
対象となる学年目安
小学校中学年~高学年
準備物
- 水(常温または少しぬるめ)
- ティッシュペーパー または キッチンペーパー
- 輪ゴム(ティッシュを指に固定するため)
- 細い棒(鉛筆など、なくても可)
- 乾いたタオル
- (発展用)温度計(デジタル式が分かりやすいですが、一般的な棒状温度計でも可。体温計は使えません)
活動の手順
- 準備: まず、乾いたティッシュペーパーを細長く折りたたみ、指に巻き付け、輪ゴムで軽く留めます。もう一方の指は何も付けずにそのままにしておきます。
- 濡らしてみよう: ティッシュを巻き付けた指の先に水を少しずつ垂らし、ティッシュ全体を湿らせます。水は常温または少しぬるめが良いでしょう。冷たすぎる水は避けましょう。
- 温度を感じてみよう: 水で濡らした指と、何も付けていない乾いた指の温度を比べてみましょう。「どちらの指が冷たいかな?」
- 風を送ってみよう: 水で濡らした指に、手で扇いだり、細い棒(鉛筆など)を使って風を送ってみましょう。風を送る前と後で、指の温度の感じ方がどう変わるか比べてみます。「風を当てるとどうなったかな?」
- 運動を体験してみよう(安全に注意): 短時間、少し体を動かしてみましょう(軽い足踏みや屈伸運動など)。体が温まる感覚や、少し汗をかいた時の体の感じ方を観察してみましょう。体を動かした後に、風が当たるとどう感じるか、濡らした指の体験と比べてみましょう。
- (発展)温度変化を測ってみよう: 温度計の先の部分に湿らせたティッシュペーパーを薄く巻き付け、風を送ってみましょう。温度計の示す値がどのように変化するか観察します。(棒状温度計の場合は、少し時間がかかることがあります。)
活動のポイント
- 手順3では、濡らした直後よりも、少し時間が経ってからの方が「ひんやり感」を感じやすくなる場合があります。
- 手順4で風を送ると、より強い「ひんやり感」が得られることを確認させ、「どうしてだろう?」と疑問を持たせることが重要です。
- この「ひんやり感」は、ティッシュペーパーに染み込んだ水が蒸発する時に、周りの熱を奪うことで起こります。これを「気化熱」と呼びます。
- 手順5の運動体験と結びつけ、「汗も、この水と同じように、体が熱くなった時に皮膚の表面から蒸発して、体の熱を奪って体を冷やしてくれているんだよ」と説明しましょう。
- 体温調節がうまくいかないと、体が熱くなりすぎて危険な状態になること(熱中症など)にも触れ、汗の大切さを伝えましょう。
安全上の注意点
- 手順5で運動を行う際は、無理のない範囲で行い、必ず水分補給をしましょう。体調がすぐれない場合は運動は避けてください。
- 温度計を使用する際は、落下させたり、ぶつけたりして破損しないよう注意してください。割れた破片などで怪我をする可能性があります。
- 使用する水は常温またはぬるま湯にし、冷たすぎる水は使わないようにしましょう。
期待される教育効果
このアクティビティを通して、子供たちは「水が乾く時に冷たくなる」という身近な現象が、汗による体温調節という体の重要な働きにつながっていることを体験的に学びます。科学的な現象(気化熱)と体の仕組みが結びつくことで、身体の不思議や科学への関心を高めることができます。また、汗をかくことの重要性を理解し、暑い時にどうすれば良いか(水分補給、休憩など)を考えるきっかけにもなります。
応用例や発展的な活動
- アルコール(エタノールなど)を使って同様の実験を行うと、水よりも速く蒸発し、より冷たく感じられることを体験できます。(ただし、アルコールは引火性があるため、取り扱いには十分な注意と換気が必要です。小学生の実験としては推奨しませんが、教員の方がデモンストレーションとして行う場合は、火気厳禁、換気徹底を厳守してください。)
- 濡れた服を長時間着ていると体が冷える理由を話し合ってみましょう。これも汗や水が蒸発する時の気化熱が関係しています。
- 動物の中には汗をかかない動物がいること(犬はパンティングといって舌を出してハァハァすることで熱を逃がすなど)を紹介し、様々な体温調節の方法について調べてみるのも面白いでしょう。
まとめ
今回の「からだ探検隊」では、水が蒸発する時の「ひんやり」を感じる体験を通して、汗が体温調節に役立つ仕組みを探検しました。汗は、私たちが暑い夏でも元気に過ごすために、とても大切な役割を果たしてくれています。身近な体の働きに目を向け、その不思議や大切さをぜひ親子で、あるいは教室で探検してみてください。