なぜ骨は丈夫なの?紙の筒で骨のひみつを探検!
私たちの体は、約206個もの骨によって支えられています。骨があるおかげで、立ったり座ったり、走ったりと、様々な動きをすることができます。しかし、骨は軽くて動きを邪魔しない一方で、とても丈夫で、多少の衝撃では折れたり曲がったりしません。一体、骨はその軽さと丈夫さをどのように両立させているのでしょうか?
今回は、身近な「紙」を使った簡単な実験を通して、骨の丈夫さの秘密の一端を探検するアクティビティをご紹介します。
アクティビティの目的
このアクティビティを通して、以下の点を学ぶことができます。
- 同じ素材でも形(構造)が変わると強さが大きく変わることを体験する。
- 人間の骨が、単に硬いだけでなく、その「構造」によって丈夫さを保っていることに気づく。
- 身の回りの様々なものが、それぞれの構造によって特徴的な性質を持っていることに関心を持つ。
対象となる学年目安
小学校中学年~高学年(3年生~6年生)
※低学年でも大人の補助があれば楽しめますが、「構造」の概念の理解は難しい場合があります。
準備物
- A4またはB5サイズの紙:数枚(コピー用紙など、厚すぎないものが適しています)
- セロハンテープまたはマスキングテープ:少量
- 平らで安定した台:1枚(下敷きや厚手のノートなど)
- 重しになるもの:積み木、文庫本、ペットボトル(水を入れたもの)など、大きさが揃っていて積みやすいもの。数個~数十個用意できると、比較がしやすくなります。
- 重しを乗せるための平らな板:1枚(厚紙、クリアファイル、まな板など、軽くてある程度の固さがあるもの)
- (任意)重さを測るためのキッチンスケール
活動の手順
- 予想を立てる: 始める前に、「骨はなんで丈夫なんだろう?」「紙は重さにどれくらい耐えられるかな?」などと問いかけ、子供たちに予想を立ててもらいます。
- 平らな紙の強度を試す:
- 紙を1枚、机の上に平らに置きます。
- その上に「重しを乗せるための板」を乗せます。
- 板の上に、重しを少しずつ丁寧に重ねていきます。
- 紙が曲がったり、しわになったり、重しを支えきれなくなったときの重しの数や様子を観察し、記録します。
- 筒状の紙の強度を試す:
- 新しい紙を1枚用意します。
- 紙を縦向きに置き、端からくるくると巻いて筒状にします。指が一本入るか入らないかくらいの太さで、しっかりと巻くのがおすすめです。
- 巻き終わりの部分をセロハンテープで数カ所留めて、筒の形を固定します。
- 机の上にこの筒を立てて置きます。
- 筒の上に「重しを乗せるための板」を乗せます。
- 板の上に、重しを少しずつ丁寧に重ねていきます。
- 筒が潰れたり、重しを支えきれなくなったときの重しの数や様子を観察し、記録します。
- 結果を比較する: 平らな紙の場合と筒状の紙の場合で、どれくらいの重さに耐えられたかを比較します。「こんなに違うんだ!」という驚きを共有しましょう。
- 話し合い: なぜ筒状にしただけでこんなに強くなるのか、その理由について話し合います。骨の構造についても少し触れてみましょう。
活動のポイント
- 問いかけを大切に: 実験の前後で、「どうしてだと思う?」「何が違うのかな?」といった問いかけをたくさん行い、子供たちの思考を促しましょう。
- 観察させる視点: 紙がどのように変形するか、どこから崩れていくかなど、細かい部分も観察するよう促してください。
- 再現性: 紙を筒にする際に、巻き方や太さをある程度揃えるようにすると、比較がしやすくなります。
- 骨との関連付け: 実験が終わった後、「人間の骨も、実は外側がしっかりした構造で、中はスカスカした(空洞が多い)構造になっているんだよ」という話をしてみてください。今回の筒の実験のように、中が空洞になっている構造が、軽さと丈夫さを両立させる秘密の一つであることを伝えます。(骨の内部は骨梁という柱のような構造がありますが、まずはシンプルに「中が空洞の筒は強い」という原理から導入するのがおすすめです)。
- 失敗も学び: 重しを乗せる途中でうまくいかなくても、「どうしてかな?」「次はどうしたらいいかな?」と一緒に考える機会にしましょう。
安全上の注意点
- 重しの取り扱い: 重しを積みすぎると崩れる危険があります。特にペットボトルや本などは、落ちると怪我の原因になることもありますので、安全な範囲で行い、崩れそうになったらすぐに中止してください。
- 指などを挟まない: 重しを乗せたり下ろしたりする際に、指などを挟まないように注意深く行いましょう。
- 安定した場所で: 実験は、平らで安定した机の上などで行ってください。
- 大人の見守り: 子供だけで行わせず、必ず大人がそばで見守り、必要に応じて補助を行ってください。
期待される教育効果
このアクティビティは、物理的な「構造」が物の性質に与える影響を、具体的な体験を通して理解するのに役立ちます。骨の丈夫さが単なる材質の硬さだけでなく、その巧妙な構造によって支えられていることを学ぶことで、生命体の持つ機能的な構造への興味や関心を高めることができます。また、簡単な材料で科学的な原理を実験できるという経験は、子供たちの探究心を育むでしょう。
応用例や発展的な活動
- 他の材料で試す: 厚紙や画用紙、新聞紙など、様々な種類の紙で同様の実験を行い、素材による強度の違いを比較してみましょう。
- 太さや高さによる違い: 筒の太さや高さを変えて実験し、構造のサイズが強度にどう影響するかを調べてみましょう。
- 実際の骨の構造を調べる: 図鑑やインターネットで、実際の骨(特に長管骨など)の内部構造(骨密質、骨髄腔、骨梁など)について調べてみましょう。実験で体験した「中が空洞でも丈夫」という原理と、実際の骨の構造との関連性について考えてみましょう。
- 身の回りの構造を探す: 橋や建物、家具など、身の回りのものがどのような構造で強度を保っているかを探してみましょう。柱が丸いものや四角いもの、梁の形などを観察します。
今回の紙の筒の実験は、骨の持つ軽くて丈夫な構造の秘密の一端を体験的に理解するためのものです。私たちの体には、骨以外にも様々な不思議な仕組みがたくさんあります。ぜひ、他の体探検アクティビティにも挑戦してみてください。