どうして鳥肌が立つの?皮膚のふしぎな反応を探検!
寒い時に「ぞわっ」とする、鳥肌のふしぎを探検しよう!
突然の寒さや、なんだか怖い気持ちになったとき、腕や足の毛穴のあたりがブツブツっとなって、毛が逆立つような感じになることがありますね。これが「鳥肌」です。鳥のむしった後の皮のように見えることから、こう呼ばれています。
鳥肌は、寒いときだけではなく、びっくりしたり、感動したりしたときにも立つことがあります。「鳥肌が立つほど怖い話」なんて表現を聞いたことがあるかもしれません。
一体、私たちの体の中で何が起こっているのでしょうか?なぜ鳥肌が立つのでしょう?今回は、この鳥肌が立つふしぎな体の反応について、簡単なアクティビティを通して探検してみましょう。
アクティビティ:「鳥肌、観察してみよう!」
私たちの体が寒さを感じたときに、どのような反応をするのかを観察し、その仕組みについて学びます。
アクティビティの目的
- 寒いときに体に起こる「鳥肌」という現象を実際に観察し、どのようなものかを知る。
- 鳥肌が、皮膚の毛穴の周りにある小さな筋肉の働きによって起こる体の反応であることを理解する。
- 体温を保とうとする体の働きについて関心を持つ。
対象となる学年目安
小学校中学年〜高学年
(低学年のお子さんと行う場合は、仕組みの説明をより簡単な言葉にし、観察に重点を置くと良いでしょう。)
準備物
- 保冷剤(ケーキやお弁当についてくるものなど)
- タオルや布(保冷剤を包むため)
- (あれば)ルーペや虫眼鏡(毛穴や毛の様子を見るため)
活動の手順
- 鳥肌について話し合う:
- 「鳥肌ってどんなものか知っているかな?」「どんなときに鳥肌が立つ?」などと子どもたちに問いかけ、鳥肌がどのような現象か、どんなときに経験するかについて話し合います。
- 自分の腕などを見てもらい、「今は鳥肌立っているかな?」と確認します。
- 腕の一部を冷やしてみる:
- 保冷剤を必ずタオルや布でしっかり包みます。直接皮膚に当てないように注意してください。
- 服の上からではなく、素肌にタオルで包んだ保冷剤をそっと当てて、皮膚の一部(例えば腕の外側など)を冷やします。広範囲ではなく、数センチ四方くらいの範囲で十分です。
- 皮膚の変化を観察する:
- 数分間、保冷剤を当てた部分の皮膚の様子をよく観察します。
- 最初は何も変化がなくても、しばらくすると皮膚の表面が少し盛り上がってブツブツしてきたり、毛が根元から少し起き上がったりする様子が見られるかもしれません。これが鳥肌です。
- もし鳥肌が見られたら、その部分をそっと触ってみて、普段の皮膚との違いを感じてみましょう。ルーペがあれば、毛穴の周りの変化や毛の立ち具合を観察するのも面白いです。
- 冷やすのをやめる:
- 鳥肌が確認できたら、保冷剤を当てていた部分を温めるか、そのままにしておくと、しばらくすると鳥肌が消えて元の皮膚の状態に戻ります。その変化も観察してみましょう。
- なぜ鳥肌が立つのか考えてみる:
- なぜ冷やすと皮膚がブツブツになったり、毛が立ったりしたのか、子どもたちと一緒に考えてみます。「寒かったから?」「体が何か反応したのかな?」など、自由に発言させてみましょう。
- 鳥肌が立つ仕組みについて、分かりやすく説明します。(後述の「活動のポイント」や「期待される教育効果」を参考にしてください。)
- 話し合いとまとめ:
- 今回観察した鳥肌と、普段経験する鳥肌(寒いとき、怖いときなど)は同じ現象であること、そしてそれが体の大切な働きの一つであることを確認します。
活動のポイント
- 冷やしすぎに注意: 保冷剤は必ずタオルで包み、長時間同じ場所に当て続けないでください。冷たすぎると感じたらすぐにやめるように声かけしましょう。
- 鳥肌が出やすい場所を探す: 人によって鳥肌が出やすい場所や感じ方が異なります。腕の内側や外側、太ももなど、いくつか試してみるのも良いかもしれません。
- 「毛穴」と「筋肉」: 説明する際は、「毛穴のすぐ横には『立毛筋(りつもうきん)』という小さな筋肉が付いています。」「寒いとき、この筋肉がキューッと縮むことで、毛穴の周りの皮膚が少し引っ張られて盛り上がり、毛が起き上がります。」のように、平易な言葉で仕組みを伝えます。専門用語(立毛筋)は補足として紹介する程度が良いでしょう。
- 動物との比較: 動物が寒さや恐怖を感じたときに毛を逆立てる様子(猫が威嚇するときなど)と比べることで、鳥肌が体温を保とうとしたり、体を大きく見せようとしたりする、動物が持っている古い名残の反応であることを伝えると、さらに興味を引き出すことができます。
- 怖い話での鳥肌: 怖い話を聞いたときに鳥肌が立つのは、体が危険を感じたときに反応する「自律神経」という仕組みが関係していることも、簡単に触れると学びが深まります。
安全上の注意点
- 凍傷に注意: 保冷剤を直接皮膚に当てると凍傷の危険があります。必ず厚めのタオルや布でしっかりと包んで使用してください。
- 冷やしすぎない: 体が冷えすぎないように、短時間で観察を終えるようにしましょう。
- 体調の確認: 体調がすぐれないときは、無理に行わないでください。
- 触覚の確認: 冷やす部分に傷や湿疹などがないか確認してから行いましょう。
期待される教育効果
このアクティビティを通して、子どもたちは自分の体が外部の環境(寒さなど)に対して、様々な方法で反応していることを体験的に学びます。鳥肌という身近な現象が、単なる感覚ではなく、皮膚に付属する小さな筋肉の働きによって起こる生理的な反応であることを知ることで、体の仕組みへの興味や探究心を育むことができます。また、鳥肌が体温を保とうとする体の働き(体温調節)の一部であることや、他の動物にも見られる反応であることを知ることで、生物としての体の共通性や進化についても考えるきっかけになるかもしれません。
応用例や発展的な活動
- 他の体の反応を調べる: 寒いときに体が震えるのはなぜ? 熱いものを触ったときに手を引っ込めるのはなぜ? など、他の体の反応についても調べてみる。
- 動物の毛について調べる: 寒い季節に動物の毛が濃くなる(冬毛になる)ことや、動物が毛を逆立てる時の様子や理由について図鑑やインターネットで調べてみる。
- 鳥肌が立つ他の状況を話し合う: 怖い話や感動する場面など、寒さ以外の原因で鳥肌が立った経験について話し合ってみる。
まとめ
鳥肌は、体が寒さから身を守ろうとしたり、危険を感じたときに起こる、皮膚の小さな筋肉の働きによる反応です。今回のアクティビティを通して、自分の体のふしぎな反応を観察し、その仕組みを知ることで、私たちの体がどれほど精巧にできているかを感じていただけたなら幸いです。身近な体のサインに目を向け、親子で、あるいはクラスのみんなで、からだの探検を続けてみてください。