自分で作って動かそう!指の骨と関節のふしぎ
はじめに
私たちの体は、立つ、歩く、ものを持つ、字を書くなど、様々な動きをすることができます。こうした複雑な動きを可能にしているのが、骨、関節、そして筋肉の働きです。中でも、日常生活で最もよく使う手や指は、とても細かく、器用に動きます。一体、指の中では何が起きているのでしょうか?
このアクティビティでは、身近な材料を使って簡単な「指の骨格模型」を作り、実際に動かしてみることで、指が曲がる仕組みや、骨と関節、筋肉の関係について体験的に探検します。
アクティビティの目的
- 指が曲がる仕組みに興味を持つ。
- 骨が体を支え、関節があることで曲がることを理解する。
- 筋肉(腱)が骨を引っ張ることで体が動く仕組みの一端を学ぶ。
- 模型作りを通して、体の内部の構造を視覚的・体験的に捉える。
対象となる学年目安
小学3年生~小学6年生
(はさみや細い材料を使うため、手指の細かい作業がある程度できる学年が目安です。低学年の場合は、大人の方がサポートしてください。)
準備物
- 厚紙または画用紙:指の形を切り取るために使います。(A4サイズ1枚程度)
- 紙ストロー:指の骨に見立てます。(太め・細めを数本ずつあると実験しやすいです)
- タコ糸または丈夫な紐:筋肉(腱)に見立てます。(指1本につき30cm程度)
- セロハンテープ
- はさみ
- 油性ペンまたは鉛筆
活動の手順
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指の形を切り取ろう:
- 厚紙に自分の指を置き、油性ペンなどでなぞって形を描きます。指の長さより少し長めに描くと、根元で模型を支えやすくなります。
- はさみを使って、描いた指の形を切り取ります。
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骨に見立てたストローを貼ろう:
- 切り取った厚紙の「指」の上に、指の骨をイメージしながら紙ストローを並べます。自分の指を触ってみて、骨がいくつかあること、曲がる部分(関節)があることを確認してみましょう。
- ストローを指の関節の数に合わせて、関節部分に少し隙間ができるように切ります。
- 切ったストローを、厚紙の指にセロハンテープで貼り付けます。ストローの筒の中にタコ糸を通すので、ストローの穴を塞がないように、数カ所だけテープで固定するのがコツです。関節部分(ストローの間にできる隙間)では、ストロー同士をくっつけずに少し間隔を開けてください。
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筋肉(腱)に見立てたタコ糸を通そう:
- タコ糸をストローの筒の中に通します。これは、筋肉と骨をつなぐ「腱(けん)」の役割に見立てています。
- 指の表側(手の甲側)と裏側(手のひら側)の両方に糸を通すと、指を伸ばしたり曲げたりする両方の動きを再現できます。
- 例えば、指を曲げるための糸はストローの裏側に通し、先端(指先)と根元(手のひら側)の厚紙にセロハンテープでしっかり固定します。この時、根元の糸は長めに残しておくと、後で引っ張るのに便利です。
- 指を伸ばすための糸は表側に通し、同様に固定します。(曲げる動きだけでも十分に観察できます)
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模型を動かしてみよう!
- 根元に残しておいたタコ糸をゆっくりと引っ張ってみましょう。
- どうなるか観察してください。ストローで作った指が、関節の部分で曲がるのがわかるはずです。
- 強く引っ張るとどうなるか、ゆっくり引っ張るとどうなるか、試してみましょう。
活動のポイント
- 自分の指を観察しよう: 模型を作る前や作っている途中で、自分の指を実際に触ってみる時間を持ちましょう。「硬いところは骨かな?」「どこで曲がるのかな?」と、自分の体を観察することから始めると、模型作りへの興味が高まります。
- 「なぜ動くの?」を考えよう: タコ糸を引っ張って模型が動く様子を見ながら、「このタコ糸は何に見立てているのかな?」「体が動くときも、こんな風に何かが骨を引っ張っているのかな?」と問いかけてみましょう。タコ糸が筋肉(の先の腱)の役割をしていることを説明し、筋肉が縮むことで骨を引っ張り、関節が曲がる仕組みに気づかせます。
- ストローの隙間の役割: ストローとストローの間の隙間が「関節」であることを意識させましょう。「もしストロー全部がくっついていたら、指は曲がるかな?」と考えさせ、関節の重要性を理解させます。
- 糸を通す向き: 糸を裏側に通すと指が曲がり、表側に通すと指が伸びる、というように、筋肉のつき方によって動きが変わることを説明すると、さらに学びが深まります。(タコ糸の本数を増やしたり、位置を変えたりして試すのも良いでしょう)
安全上の注意点
- はさみを使う際は、刃物による怪我に十分注意してください。使用後は安全な場所に保管しましょう。
- 紙ストローやタコ糸の切れ端など、細かい材料を誤って口に入れたりしないよう、特に小さなお子さんが参加する場合は注意深く見守ってください。
- タコ糸が首などに絡まらないように、遊ぶ際は十分注意してください。
期待される教育効果
このアクティビティを通じて、子供たちは自分の体の基本的な構造(骨、関節、筋肉)がどのように連携して動きを生み出しているのかを、具体的な模型作りと操作を通して体験的に理解することができます。指という身近な部分をテーマにすることで、体の仕組みへの興味を持ちやすくなります。また、複雑な体の仕組みを模型というシンプルな形で再現することで、科学的な思考力やモデル化の考え方を養うことにも繋がります。
応用例や発展的な活動
- 他の関節の模型作り: ひじやひざなど、他の体の関節の模型も作ってみましょう。それぞれの関節がどのように動き、どのような骨や筋肉が関わっているのかを調べ、模型で再現できるか挑戦します。関節の種類(蝶番関節、球関節など)について調べるきっかけにもなります。
- 骨の役割を調べる: 骨は体を動かすだけでなく、体を支えたり、内臓を守ったり、血液を作ったりする働きもあります。骨の様々な役割について、図鑑やインターネットで調べて発表し合う活動も面白いでしょう。
- 筋肉の働きをもっと知る: 筋肉には、体を曲げる筋肉と伸ばす筋肉があること(例えば、腕を曲げるときに力こぶができる筋肉と、腕を伸ばすときに使う筋肉)など、筋肉の仕組みについてさらに深く学んでみましょう。
この「指の骨格模型」作りを通して、子供たちが自分の体の不思議に気づき、さらに探求を進めるきっかけとなることを願っています。